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"マシな野党"の体現者、津村啓介(国民民主)を褒め上げる

 今回は、国民民主党の議員・津村啓介について書きます。

 実はこの話題の記事は前々から書く準備を進めていたのだが、この8月13日に国民民主党の代表戦に出馬表明したとのことで、急いで形にすることにした。

 

 僕は津村議員の選挙区である岡山市在住だ。近所には彼の選挙事務所もあり、だからというわけではないが、今までの選挙では、わりと津村議員に一票を投じてきた。

 しかし、これは最初に言っておかなければならないが、僕は安倍政権支持である*1。安倍支持者が民主党とか希望の党(当時)の議員に、積極的に票を入れていたということである。これは僕個人の投票行動ではあるが、理由が無いことではないので、たぶん他の人も同じように感じてくれるのではないか? そのため、今回は僕が津村啓介を積極的に支持する理由をブログにまとめて書いておく。

 結論から述べれば、津村啓介という男は、日頃からアベ信者と罵られがちな僕らがよくいう、「もしもアベ自民党よりもいい野党が出てきたらすぐにでも乗り換えたるわ!!!」の体現だということである。

 蓮舫や鳩山はクソだ、枝野さんも玉木さんも微妙かもしれない。

 だが津村啓介なら支持できる。

 この記事ではその理由をハッキリ書いておく。

 

津村啓介支持を作り上げる一冊の本

 そもそも僕が津村啓介議員に「お? この人はマシだぞ?」という印象をもち始めたのは、彼の選挙事務所ビルにでかでかと、<本を出しました>なる広告を掲示しだしたからである。僕はわりとビブリオマニアの気があり、本を出したとか読んだというだけでその人間に甘くなる傾向がある。それで、次の選挙でもうちの選挙区から出るのだろうし、内容を確かめて見ようと思ったのだ。

 その本がこれ。

国会議員の仕事―職業としての政治 (中公新書)

国会議員の仕事―職業としての政治 (中公新書)

 

  内容としては、津村啓介林芳正という二人の政治家が、交互に自分が政治家になった理由・なった後の仕事について語ることで、国会議員という人が何を仕事としてやっているのか、内容を明らかにするという趣旨である。まあ、だいたいは彼らの半生記であって、僕のように政治家についてブログを書こうとか思ってないなら、特に買わなくてもいい。もう結構古い本でもあることだし。

 しかし、一点だけ重要な事がある。共著者の林芳正はゴリゴリの自民党二世議員だ。結構大臣ポストも歴任しており、今は安倍内閣文部科学大臣をやっている。

 この本は、民主党が政権を取ったあと1年たって低迷期に入りかけた、2011年の出版である。本の中の二人が対談している章でも、マニュフェストがなぜ形骸化しただの、民主党は持ち直さねばならないだの、かなり耳の痛いだろう話も多い。そういう話が出てくるとわかってる時期に、むしろ積極的に敵対勢力の自民党議員と話にいけること。しかも内容は、お互いにわかり合った雰囲気というか、批判しあうこともなく建設的な議論をしているんである*2

 

 この一点だけで、僕は津村啓介支持を明確に打ち出せる。

 今の日本の政治状況は、悲惨とすら言われるが、それは敵の言い分に理解を示すことのできない思想家・活動家・政治家・マスコミが作り出した悲惨さだと、僕は本気で思っている。

 津村啓介はそうではないのだ

 

 

+保守とかリベラルとかではない

 

 津村啓介は長年、民主党の有力な中堅若手議員と言われており、民主党政権時代は大臣職ですらないものの政策ポストをこなすなど、それなりに長い期間議員をやっていた。だから仕事はいろいろやっているのだが、なかでもメディアやネットで露出が多かったのは、女性宮家問題の担当者としてである。彼は女性宮家設立を目指す立場だったらしく、ネットでは急進的な?右翼から叩かれがちだった。

 一方、こんな記事もネット検索では出てくる。

ch.nicovideo.jp 

 ネット右翼の生みの親との呼び声も高い*3小林よしのりから、「本物の尊皇派」として大絶賛を受けていたりする。小林よしのりもまた、陛下が望まれるならそうしよう、という理由で女性宮家賛成派で立場を同じくしているので、これ自体は自然といえば自然だが。

 

  しかし、津村啓介は、本来どちらかといえば左派寄りの思想をもつ人である。 

www.sanyonews.jp 

 これは昨年の選挙の際に出たの地元新聞による候補者アンケートだ。

 津村啓介は、消費増税反対、憲法改正反対、北朝鮮圧力増反対、原発再稼働反対の立場を示している。ツイッターでこれだけ言ったら、ほぼ間違いなくパヨク呼ばわりされるであろう。僕自身は保守寄りなので、投票するときにちょっと悩んだ覚えがあり*4、この人はリベラルだという印象が強く残っている。

 そういう人が、ネトウヨの生みの親みたいな立場の人に、絶賛されている。このことを非常に大きく評価したい。敵を味方にすることが出来る能力! これ以上に政治家に必要な資質があろうか*5

 右左勢力の分断が、世界的に強く危惧されている昨今の情勢において、津村啓介はそれを飛び越えることができる。

 

 

+普段の活動からしてそういう感じ

 

 津村啓介のそういうところは、公式ツイッターを見ているだけでちょいちょい見ることができる。今は代表選出馬のニュースに埋もれて探し出すのがちょっと大変だが。

  津村啓介は、一貫して「アベガー」には組さない

 もちろん津村啓介は、モリカケ問題について強く批判していて、国会での関連発言もある。だが、相手が批判先の安倍であろうと、粗探しをしたりはしない。これは恐らくの話だが、彼はもともと二大政党制を強く志向する政治家であるので、「議論」というものが何なのか判っているし、他の野党政治家が「議論」を目指していないことを強く憂えている*6。相手の良いところは認め、悪いところだけを批判するのが、議論というものだ。相手との信頼関係が大事だし、相手を嘘つき呼ばわりすると――実際に嘘をついているとしても――議論は成立しない。

 津村啓介は、決して批判だけの野党であることを良しとしない。彼は、希望の党に一旦離脱したあと、最終的に国民民主党に入った。それは、政局の読み間違いではあったし、たぶんこの先も不利に働くだろう。だけど、そういう風になってしまった根本には、批判に終始していた旧民主党の体制への不満があったのだ。国民民主党の「解決」を全面に押し出す姿勢にも、津村啓介、ないし津村啓介の一派の影響があったのではないかと、僕は密かに思っている*7

 

 敵から学ぶ姿勢もある。

 はたして野党支持を日頃表明しているあなた方は、自民党が良いことをした! というニュースのときに、素直に褒めるツイートができるだろうか? なんか負けた気がするという理由で、何も言わずに、ニュース画面を無言で閉じたりしてないだろうか?

 これは与野党どっちでも関係ないが、敵のアラを探すってのは、非常に簡単なことなのである。人間の脳は、長所を探すよりも欠点を探すほうが得意な仕組みであり*8、困難とされる二足歩行がわれわれに簡単なのと同様に、相手の悪いところを批判するのも実に簡単なの行為なのだ*9。極論、批判っていうのは、全く知性など必要としない行動だと僕は思っている。

 反対に、褒める、というのはめちゃくちゃ難しい。僕も苦手だ。日頃、家族や子供をいかにして褒めるか、四苦八苦されている方々も多いのではないか。

 いわんや、褒める相手が政敵であればどうか

 敵を褒めることができるのは、相当に優秀な人だけだと思う。僕自身、いざそのときにそれができるか、気をつけたいが自信はない。

 

 

+政治信条が異なるとしても支持できる

 

 他の代表戦関連のニュースでは、津村啓介の政策とか思想とか経歴について、きっともっと詳しく書くのだと思う。しかしこの記事で、僕はそれをしない。関係ないからだ。

 文中でもちょっと述べたが、僕は政治的にはちょっと保守寄りである。改憲は出来るならしたほうがいいと思うし、北朝鮮に備えるためなら自衛隊法周りの整備はやむなしだし、原発可動は致し方ない。津村啓介がおそらく一番の政治目標としているであろう、二大政党制の実現すら、僕は日本人にはあわないんじゃないかなあとか思っている。強いて言えば、津村啓介は日銀勤務の経歴をもつので、アベノミクスに続くリフレ政策に理解があるかもしれない? でもいままの政治経歴は経済寄りじゃないので支持の根拠としてはそこまで強くない。

 

 しかし確信していることがある。津村啓介は、そういう政治信条を別にする僕の言葉を、切り捨てずに聞くであろう

 だから僕は津村啓介を支持するのだ。もっと興味がある人があれば、氏の出ている動画とか、国会の議事録とか、見てみれば良い。敬語ひとつとっても常に相手へのリスペクトがある。そうり!そうり!と叫んだ女性議員にはついぞ見られないものだ。

 

 この際だから、勝手に社会を代表するようなことを言ってしまうが、僕たちが常日頃「自民は野党よりマシ」とかいう言い方で求めているのも、結局このリスペクトだけであろう。だから、もしも国民民主党がこういう態度を崩さずにいけるなら、党勢はきっと復活するだろう。というか、それ以外に道はない。日本全国から安倍批判票をかきあつめた立憲民主党の凋落を見よ。あれではだめなのだ。

 むろん、この道は簡単ではない。信頼関係を築くのが基本路線なのだから、十年や二十年では、再び自民党と争うところまで盛り返すことはできまい。今回の代表選では、対自民よりむしろ立憲民主ほか野党との対峙のあり方が問題になるので、自民との融和姿勢だけが続くとも思わない。

 しかし、津村啓介のような議員が増えることでしか、こんどこそマトモな非自民政権をつくることは出来ないのではないか。少なくとも津村啓介本人は、それを目指しているはずだ。

 他の野党議員たちも、彼にならえ。

*1:僕のことはどうでもいいので脚注にしまって言っておくが、安倍支持は、リフレ政策支持かつ、今の対北朝鮮対応支持かつ、改憲派であるためだ。消費増税が起きるとなるとそのうちリフレが潰れるので、他に有力なリフレ派自民議員が出てきたら――石破と小泉は違うということだが――立場は変わるかも。あとモリカケについてのスタンスは前に別に記事を書いた。

*2:あとがきによれば、この本の出版は、中公新書の編集者が二人に呼びかけて実現したものだという。編集者さんは、二人のことをそういうことの出来る人材だと見きったのだろう。偉い人だなあ。

*3:言うまでもないが冗句だ。本人は割と不本意みたいだぞ

*4:結局のところ津村啓介に入れたが

*5:それができないから今の野党は負けているのだ! ということを強く主張したい。野党と野党支持者は津村議員にならえ

*6:安倍政権がご飯論法を議論をしていないのだ、とよく言われるが。俺はあのご飯論法が出てきたのを「安倍と麻生がついに、議論をしようとしない野党をまともに相手にするのを諦めた」と見ている。諦めたのは確かに褒められたことではないが、それ以上に俺はアベガー論法が嫌いだ。

*7:僕が玉木さんをイマイチ支持できないのは、党の設立会見のときにその「解決」部分に求めていることがちょいボケてたから。悪い人じゃあないんだが。

*8:だから人間は欠点を改善することができるのだ

*9:ちなみに、いわゆる"ブーメラン"が発生するのもこのためだ。民主党自民党の粗探しをした、と一度思われたら、民主党の粗探しが始まる。そして粗探しは簡単なので非専門家のネット民が容易く粗を見つける